イグノーベル賞
IG Nobel
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イグノーベル賞とは「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞である。ノーベル賞のパロディ的な賞で、1991年に創設された。イグノーベルの名は、「ノーベル賞」に反語的な意味合いの接頭辞を加えたもじりであると共に、「卑劣な、あさましい」を意味する"ignoble"と掛けている。
同賞には、工学賞、物理学賞、医学賞、心理学賞、化学賞、文学賞、経済学賞、学際研究賞、平和賞、生物学賞の10部門ある。
毎年各部門において、風変わりな研究や社会的事件などに対し、時には笑いと賞賛を、時には皮肉を込めて授与される。
同賞の性質上、名誉と考える受賞者もいれば、不名誉と考える者もいる。例えば1996年の平和賞は、「広島への原爆投下50周年を記念して太平洋で核実験を行った」ことに対しフランスのシラク大統領に贈られた。
一方で、脚光の当たりにくい分野の地道な研究に人々の注目を集めさせ、科学の面白さを再認識させてくれるという点も指摘されている。
同賞を企画運営するのは、サイエンス・ユーモア雑誌「風変わりな研究の年報」(Annals of Improbable
Research)と、その編集者であるマーク・エイブラハムズ。共同スポンサーは、ハーバード・コンピューター協会、ハーバード・ラドクリフSF協会など。
授賞式は毎年、ハーバード大学のサンダーズ・シアターで行われており、「本物の」ノーベル賞受賞者らも出席する。
日本人では、タカラのバウリンガルの開発者などが受賞の栄誉に輝いている。
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日本人の受賞一覧
驚くべきことに、日本はイグノーベル賞大国であり、多数の受賞者を輩出している。
1992年
医学賞:「足の匂いの原因となる化学物質の特定」という研究に対して - 神田不二宏(資生堂研究員)
1994年
物理学賞:「地震はナマズが尾を振ることで起こるという説の検証」という7年間にわたる研究に対して - 気象庁
1995年
心理学賞:ハトを訓練してピカソの絵とモネの絵を区別させることに成功したことに対して - 渡辺茂(慶応大学教授)ら
1996年
生物学的多様性賞:岩手県の岩石からミニ恐竜、ミニ馬、ミニドラゴン、ミニ王女(?)など1000種類以上に及ぶ「ミニ種」の化石を発見したことに対して。「ミニ種」はいずれもすでに絶滅しており、体長は0.3ミリ以下であったという。
- 岡村長之助(岡村化石研究所)
1997年
生物学賞:「人がガムを噛んでいるときに、ガムの味によって脳波はどう変わるのか」という研究に対して - 柳生隆視(関西医科大学講師)ら
経済学賞:「たまごっち」により、数百万人分の労働時間を仮想ペットの飼育に費やさせたことに対して - 横井昭宏(ウィズ)、真板亜紀(バンダイ)
1999年
化学賞:夫のパンツに吹きかけることで浮気を発見できるスプレー「Sチェック」を開発した功績に対して - 牧野武(セーフティ探偵社)
2002年
平和賞:犬語翻訳機「バウリンガル」の開発によって、ヒトとイヌに平和と調和をもたらした業績に対して - 佐藤慶太(タカラ)、鈴木松美(日本音響研究所)、小暮規夫(獣医師)
2003年
化学賞:「ハトに嫌われた銅像の化学的考察」。兼六園内にある日本武尊の銅像にハトが寄り付かないことをヒントに、カラス除けの合金を開発した。
- 廣瀬幸雄(金沢大学教授)
2004年
平和賞:「カラオケを発明し、人々に互いに寛容になる新しい手段を提供した」業績に対して - 井上大佑 (会社経営者)
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参考文献
『イグ・ノーベル賞』マーク・エイブラハムズ著,阪急コミュニケーションズ, ISBN 4-484-04109-X